DVが原因で離婚した直後、相談に乗ってくれた高校の同級生と再婚した38歳の女性がいる。実はダブル不倫の関係だった。周囲から冷ややかな目を向けられたが、愛し合っているし周りは関係ない、離婚したらすぐ結婚しようと約束していた、と当然のように籍を入れたという。
半年後、新しい夫の浮気が発覚した。不信感が募りながらも、周囲の目を気にして離婚できない苦しさを抱えている。
離婚後すぐの再婚は、法律上は問題ない。2024年4月から、離婚の翌日でも再婚できるようになった。うまくいくかどうかを分けているのは経過した月数ではなく、前の結婚が終わった理由を自分の言葉で言えるかどうかになる。
法律上は、離婚の翌日から再婚できる
再婚禁止期間は2024年4月に廃止された
かつて女性には、離婚から100日は再婚できないという決まりがあった。民法733条に定められていたもので、男性には課されていなかった。
この規定は2022年12月に成立した改正で削除され、2024年4月1日に施行された。明治から百年以上続いた制限が、そこで完全になくなっている。
モラハラ夫と離婚した59歳の女性は、当時この期間に引っかかった。妊娠していないことの証明書を産婦人科でもらうのが恥ずかしかったと振り返っている。今は、その手続き自体が不要になっている。古い記事にはまだ残っている記述なので、注意しておきたい。
300日以内に生まれた子の扱いも変わった
同じ改正で、嫡出推定の仕組みも見直された。
以前は、離婚から300日以内に生まれた子は自動的に前の夫の子と推定された。これを避けるために出生届を出さず、無戸籍になる子がいた。
改正後は、母が再婚した後に生まれた子であれば、再婚後の夫の子と推定される。妊娠している状態で離婚し、すぐ再婚する場合も、戸籍の問題を回避できるようになった。
届出に必要なもの
- 婚姻届。証人二人の署名が必要になる
- 本人確認書類
- 戸籍謄本。本籍地以外の役所に出す場合に求められることがある
- 離婚が戸籍に反映されているかを事前に確認する。反映前だと受理されない
離婚届と婚姻届を同じ日に出すことも、手続き上は可能になる。ただし戸籍の処理が追いつかない場合があるので、窓口で先に確認しておく。
早すぎると言われる本当の理由
周囲が計算しているのは、いつ始まったか
早すぎると言われるとき、周囲が問題にしているのは再婚そのものではない。交際がいつ始まったかを逆算している。
離婚成立から三か月で再婚すれば、多くの人は交際開始が結婚生活の中にあったと推測する。実際にそうでない場合も、同じ目で見られる。冒頭の女性が冷ややかな視線を受けたのは、その推測が当たっていたからだが、当たっていない人も同じ扱いを受ける。
なお、婚姻中に他の相手と関係を持てば不貞行為として慰謝料を請求される可能性がある。離婚が成立した後でも、婚姻期間中の行為であれば対象になる。
元配偶者の側から見た景色
離婚話の最中は絶対に別れたくないと言っていた元夫が、離婚から半年もせずに授かり婚をした。周囲が祝福する中で、元妻は複雑な思いを抱えたという。
こちらの側に立つ人も、同じ言葉で検索している。相手が早く再婚したことは、こちらへの評価ではない。別れる決断を先に済ませていた側は、別れた時点ですでに次に進む準備ができている。時間の進み方が二人で違っていただけになる。
説明ではなく、順序を見せる
早すぎるという声に、言葉で反論しても収まらない。効くのは順序を可視化することになる。
親族には、離婚が成立した時期と、相手と会うようになった時期を、日付で伝える。子どもには、会わせる前に話す。職場には、必要な範囲だけ伝える。全員に説明する必要はなく、伝える相手を絞ったほうが話が広がらない。
分かれ目は月数ではなく、離婚の理由を言えるかどうか
逃げるための再婚と、学んだ再婚
再婚には二種類ある。前の結婚から逃げるための再婚と、前の結婚から学んだ再婚になる。
前者は、経過した年数に関係なく壊れる。逃げてきた構造をそのまま持ち込むからだ。後者は、翌日でも成立する。何が原因で終わったかを特定していれば、次の相手を選ぶときにその条件を確認できる。
判別の方法は単純だ。前の結婚がなぜ終わったのかを、三つの文で説明できるか。相手が悪かった、で止まっているなら前者になる。
半年で浮気が発覚した38歳
冒頭の女性の場合、離婚の原因はDVだった。ところが再婚相手は、その苦しい時期に相談に乗ってくれた人であり、当時は互いに配偶者がいた。
つまり、前の結婚が終わる前に次が始まっていた。逃げ場として機能した相手を、そのまま生活の相手にしている。半年で浮気が発覚したのは偶然かもしれないが、彼女が今、周囲の目を気にして動けないのは偶然ではない。すでに一度、周囲の目を押し切っているからだ。
条件を反映させた40歳と、パターンを外した夫婦
40歳の女性は、夫が子どもを希望しないことが原因で離婚した。離婚後すぐに結婚相談所に入り、同じ日に二人とお見合いをして、二番目の男性と交際して三か月で結婚している。
決め手はビビッときた感覚だったというが、実際には離婚の原因が明確だったことが効いている。子どもを望むかどうか。この一点を最初から確認できたので、判断が速かった。結婚生活の経験があるからこそ、すんなり家庭を築けたとも話している。
離婚後に元配偶者の大切さに気づき、時間をかけて関係を築き直して再入籍した夫婦もいる。新しい関係として接することで、以前の喧嘩のパターンを避けられたという。
同じ相手でも、パターンを特定して外せば結果が変わる。ここが、月数より重要な部分になる。
子どもがいる場合、必ず出てくること
再婚しただけでは、親子にならない
いちばん多い誤解がここになる。
親が再婚しても、再婚相手と子どもの間に法律上の親子関係は生じない。同居して生活を共にしていても、法律上は他人のままになる。扶養の義務も、相続の権利も発生しない。
親子関係を作るには、養子縁組が必要になる。
養子縁組をすると何が変わるか
再婚のケースで使われるのは、ほぼ普通養子縁組になる。役所に届を出すだけで成立し、実の親との関係も残る。特別養子縁組は家庭裁判所の審判が必要で、再婚を理由に認められることはまずない。
普通養子縁組をすると、次のことが同時に起きる。
- 再婚相手と子どもに扶養の義務が生じる
- 子どもに再婚相手の相続権が発生する
- 子どもの名字が再婚相手の名字になる
- 実の親との親子関係は残るので、相続権は両方に残る
軽い気持ちで頼む話ではない。子どもの年齢によっては、本人の意思を確認してから決める。
養育費と手当はどうなるか
養育費を受け取っている側が再婚しただけでは、減額の理由になりません。子どもと再婚相手の間に親子関係がない以上、元配偶者が第一次的な扶養義務者であり続けるからだ。
一方、養子縁組をすると順番が変わる。再婚相手が第一次的な扶養義務者となり、元配偶者は第二次的な立場になる。再婚相手に十分な収入があれば、養育費の減額や免除が裁判所で認められる可能性が高くなる。
児童扶養手当は、再婚すると受給資格がなくなる。婚姻届を出していない事実婚でも同じ扱いになる。児童手当は再婚しても支給が続くが、受給者は夫婦のうち収入の多い方になるため、変更の手続きが必要になることがある。
名字をどうするか
養子縁組をすれば、子どもの名字は自動的に揃う。
養子縁組をせずに名字だけ揃えたい場合は、家庭裁判所に子の氏の変更許可を申し立て、許可が出てから役所に入籍届を出す。この方法なら、再婚相手に扶養の義務を負わせずに同じ名字にできる。
学校の事情などで変えたくない場合は、変えなくてもいい。この判断は、子ども本人の気持ちを優先させる場面になる。
受け入れてくれた22歳の夫
若くして結婚し、離婚後すぐに再婚した女性がいる。今の夫は当時22歳で、彼女と子どもを受け入れた。三人一緒に幸せになろうと言い、子どもの行事も大切にしてくれたという。
家族の絆が深まり、四人だった家が二人になった今も穏やかに暮らしている。
早いかどうかではなく、相手が子どもを含めた形で引き受けているかどうか。ここを入籍前に確かめられた人が、後で困っていない。
お金と期限を先に片づける
財産分与と年金分割は2年
離婚に伴う請求には期限がある。財産分与の請求は離婚から2年、年金分割の請求も原則として離婚から2年になる。慰謝料は3年。
再婚の準備に気を取られて、この手続きを放置する人がいる。過ぎれば取り返せない。
前婚の清算が終わらないまま入籍しない
財産分与、年金分割、養育費の取り決め、面会交流の頻度。これらが未確定のまま新しい生活を始めると、後から出てきた話に新しい家庭が巻き込まれる。
養育費や面会交流の取り決めは、公正証書か調停調書の形で残しておく。口約束のままだと、再婚を知った元配偶者から蒸し返されることがある。なお、面会交流は再婚しても原則として続く。子どもと実の親の関係は、再婚で消えないからだ。
それでも急ぐ理由がある場合
40歳の女性が三か月で決めた背景には、子どもを望むタイミングを逃したくないという焦りがあった。
この焦りを不純だと考える必要はない。年齢に期限のあることは実際にあり、待つほど選択肢が減る。急ぐこと自体は理由になる。
ただ、急ぐなら確認は速くする。前の結婚が終わった理由、相手の金銭感覚、子どもへの姿勢、親族との距離。三か月で決めるなら、この四つを三か月の中で確認する。期間を短くしていいのは、工程を飛ばしていい理由にはならない。
離婚から何か月経ったかは、誰も後から気にしなくなる。残るのは、前の結婚から何を持ち出したかのほうになる。
Q. 離婚後すぐに再婚できますか
できます。女性だけに課されていた離婚後100日の再婚禁止期間は、2024年4月1日に廃止されました。離婚の翌日でも再婚できます。離婚が戸籍に反映されているかだけ、事前に確認してください。
Q. 離婚後300日以内に子どもが生まれた場合はどうなりますか
同じ改正で嫡出推定の仕組みも見直され、母が再婚した後に生まれた子は再婚後の夫の子と推定されるようになりました。以前は前の夫の子と推定されたため出生届を出せない事例がありましたが、その問題は解消されています。
Q. 子連れで再婚したら、相手と子どもは自動的に親子になりますか
なりません。同居していても法律上は他人のままで、扶養の義務も相続の権利も生じません。親子関係を作るには養子縁組が必要です。再婚では、役所に届を出すだけで成立する普通養子縁組がほとんどです。
Q. 養子縁組をすると養育費はどうなりますか
再婚相手が第一次的な扶養義務者になり、元配偶者は第二次的な立場になります。再婚相手に十分な収入があれば、養育費の減額や免除が認められる可能性が高くなります。養子縁組をせず再婚しただけでは、減額の理由になりません。
Q. 児童扶養手当はどうなりますか
再婚すると受給資格がなくなります。婚姻届を出していない事実婚でも同じ扱いです。児童手当は支給が続きますが、受給者は夫婦のうち収入の多い方になるため、変更の手続きが必要になることがあります。
Q. 養子縁組をせずに子どもの名字を揃えられますか
できます。家庭裁判所に子の氏の変更許可を申し立て、許可が出てから役所に入籍届を出します。この方法なら再婚相手に扶養の義務を負わせずに同じ名字にできます。学校の事情などで変えない選択も問題ありません。
Q. 早すぎると言われたらどう答えればいいですか
言葉で反論するより、順序を示すほうが収まります。周囲が気にしているのは再婚そのものではなく、交際がいつ始まったかの逆算だからです。親族には離婚の成立時期と交際の開始時期を日付で伝え、伝える相手を絞ってください。
Q. 再婚前に済ませておくべき手続きはありますか
財産分与と年金分割の請求は離婚から2年、慰謝料は3年が期限です。養育費と面会交流の取り決めは、公正証書か調停調書の形で残しておいてください。口約束のままだと、再婚を知った元配偶者から蒸し返されることがあります。

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