仕事一筋で、恋愛経験がほぼないまま40歳を迎えた男性がいる。もう遅い、と諦めかけていた。周囲の既婚者が増えるにつれて寂しさが募り、婚活を始めたのは41歳のときだった。
最初の半年はお見合いが成立せず、返信も来ない日が続いた。そこで年下を希望していた条件を見直し、同年代の女性と丁寧に向き合うようにした。半年後に出会い、成婚している。
40歳を過ぎると結婚はほぼ不可能。この言葉は誇張になる。ただし、簡単でもない。
数字で確かめる。ほぼ不可能は誇張になる
40代前半の未婚女性の年間初婚率は2.77%
国立社会保障・人口問題研究所の統計で、40歳から44歳の女性の年間初婚率は2.77%になる。45歳から49歳では0.87%まで下がる。
一年で100人のうち約3人が初婚に至る計算だ。低い。ただ、不可能を意味する数字ではない。五年続ければ、その3人分が積み上がっていく。
再婚も含めればもっと動く。40代の女性は年間およそ1万9500件の再婚をしていて、再婚した女性全体の26.6%を占める。40歳以上の男性の初婚は、2015年に年間4万人を超えて最大になった。
50歳の時点で一度も結婚していない人の割合は、男性が28.25%、女性が17.81%になる。多い。それでも、残りの七割から八割はどこかで結婚している。
扉が閉まったのではなく、分母が減っている
40代で結婚しにくくなる理由は、その人の魅力が落ちたからではない。同世代の未婚者が減り、出会いの場が縮んでいるからになる。
学校も職場も、二十代なら未婚者ばかりだった。40代の職場では、周囲がすでに家庭を持っている。放っておいて誰かと出会う仕組みが、生活の中から消えている。
だから、待つ形の婚活は40代で機能しなくなる。動かなければ何も起きないという意味では厳しく、動けば分母を自分で作れるという意味では希望が残る。
ただし、簡単でもない
冒頭の男性は最初の半年、お見合いが一件も成立しなかった。42歳の事務職の女性は、アプリで二年活動して真剣な相手に出会えず、時間を無駄にしたと感じている。
結婚相談所の統計でも、女性がお見合いを申し込んだときの成立率は20代後半の11.4%から年齢とともに6%台まで下がる。男性は20代後半の8.6%から40代後半で4.4%になる。二十回申し込んで一回という水準だ。
数字を軽く見せる記事は信用しなくていい。厳しさを正確に把握したほうが、続け方の設計ができる。
ほぼ不可能という信念が、確率をさらに下げる
この言葉を最も強く信じているのは、婚活をしていない人ではない。婚活を始めた本人になる。そして、その信念から二つの行動が出てくる。
諦めている人ほど、条件を下げない
43歳の女性は、長く交際した相手と別れた後に婚活を始めた。最初は条件を厳しくしていたという。
奇妙に見えるが、これは自然な反応になる。もう機会が少ないと思っているからこそ、次の一回を外せない。外せないから審査が厳しくなる。会うたびに欠点を探し、減点方式で見ていく。
結果として、会う人数が減り、確率がさらに下がる。慎重さが確率を削るという、この年代特有の構造になる。
諦めている人ほど、年下を希望する
もう一つが年齢の希望になる。
42歳の女性は、同世代の男性が一歳でも若い女性を望み、自分は年齢を理由に避けられることが多かったと感じている。その男性たちも、たぶん同じ理由で動いている。残り時間が少ないと思うほど、若さで挽回しようとする。
冒頭の41歳の男性も、最初は年下を希望していた。そこを見直した半年後に決まっている。
年下を希望すること自体が悪いのではない。ただ、その層は同年代の男性とも競合するので、申し込みが通る確率が下がる。会える人数が減れば、確率も下がる。
ブレーキを外した43歳に起きたこと
先の43歳の女性は、減点方式で相手を見るのをやめた。基準を、自然に話せるかどうか、無理なく笑えるかどうかに変えた。
そこから状況が変わったという。もう年齢的に無理と思い込んでいたブレーキを外したことが成婚につながった、と本人は振り返っている。
ほぼ不可能という信念は、自分でそれを的中させる働きを持っている。信じている人が慎重になり、慎重さが人数を減らし、人数の少なさが不可能という感覚を強める。
実際に決まった人が変えた一点
年下希望をやめた41歳
冒頭の男性が変えたのは、それだけだった。同年代の女性と丁寧に向き合うようにし、清潔感を整え、話をよく聞く姿勢を持った。相手に安心感が伝わり、半年で成婚している。
清潔感と傾聴は、多くの記事に書かれている。ただ、この人の場合に効いたのは、対象年齢を動かして母集団を作り直したことのほうだと思う。
場を変えた42歳
42歳の事務職の女性は、アプリで二年活動した後、結婚相談所に切り替えた。一年三か月後に、同じく仕事を優先してきた45歳の男性と出会い、価値観が合い、交際八か月で結婚している。
キャリアを尊重し合える関係が決め手だった。アプリでは会えなかった層に、場所を変えたら会えた。同じ人物でも、母集団が変われば結果が変わる。
駆け引きをやめた40歳
交際経験がゼロだった40歳の男性は、散歩しながら忌憚なく話し合い、この人で大丈夫だと判断して素直に伝えた。相手も本気で婚活していて、すぐに承諾を得ている。今は二人きりのささやかな暮らしを慈しんでいるそうだ。
経験のなさが不利に働かなかった例になる。駆け引きを知らないことが、この年代では誠実さとして受け取られている。
四人に共通していたもの
- 対象の年齢を、自分の年齢に近づけた
- 会う場所を変えた、あるいは増やした
- 減点で見るのをやめ、話しやすさで見た
- 気持ちを伝えるまでの工程を短くした
四つとも、性格を変える作業ではない。判断の仕方と場所を変えただけになる。
それでも進まない人が抱えているもの
高身長で社交的でも交際に至らない
49歳の医療系営業の男性は、高身長で社交的、仕事も順調だ。それでも40代になってからの婚活は本当に厳しいと感じている。
パーティーに参加しても交際に至らず、年齢差がネックになって終わることが続いた。体力的にも精神的にも削られながら、次こそはと活動を続けている。40歳を過ぎてから一度も交際に至っていない現実を、割り切れずにいるという。
この人に足りないのは条件ではない。年齢差の希望を残したまま回数を重ねているので、通らない申し込みを繰り返している構造になる。
削られる前に、区切りを決める
長く続けるほど自己評価が下がる。断られた回数が積み上がるからだ。
だから、始める前でも途中からでもいい。区切りを決めておく。年齢ではなく行動量で切る。お見合いを何件、交際を何人まで。42歳で初婚に至った女性の例では、お見合い20件と交際3人を経て入会から半年で成婚している。この規模を一つの目安にできる。
やり切ったうえで決まらなければ、一人で生きる設計に切り替える。途中で立ち止まるより、そのほうが納得が残る。
子どもを望む場合の数字
ここは正確に書く。
- 生殖補助医療の治療あたりの生産率は、40歳で10.6%、42歳で5.6%、45歳で1.7%
- 流産率は40歳で35.6%、45歳で55.2%
- 不妊治療の保険適用は、治療開始時に女性が43歳未満であることが条件になる
40歳でアプリの相手と結婚した女性は、すぐに不妊治療が始まった。同世代で子どもを望む男性は若い女性を優先するため、出会いそのものが限られたという。妊娠率の低下を実感し、婚活以上に辛い経験だったと語っている。
子どもを望むかどうかを先に決めておく。望むなら、婚活の期間そのものを短く設計する必要がある。望まないなら、対象の年齢も場所も一気に広がる。決めていない状態が、いちばん時間を消耗する。
結婚しない設計も、同じだけ真剣な選択になる
50歳の時点で未婚の男性は28.25%、女性は17.81%。男性の四人に一人以上が、この道を歩いている。
結婚しないと決めたなら、その先の準備を始める。緊急連絡先を誰にするか。入院の保証人を誰に頼むか。判断ができなくなったときに誰が決めるか。任意後見や、身元保証のサービス、医療の意向を書き残しておくこと。
これらは婚活より地味だが、後から効いてくる。そして、この準備を進めた人ほど、焦りが消えて相手を落ち着いて見られるようになる。逃げ道を作ったほうが、前に進めることがある。
ほぼ不可能という言葉は、統計としては誤りで、心理としては正確に働く。信じた人から順に確率が下がっていく。年齢は動かせないが、対象の年齢と、会う場所と、見る基準は、今週から動かせる。
STEP5|FAQ
Q. 40歳を過ぎると本当に結婚はほぼ不可能ですか
誇張です。40歳から44歳の女性の年間初婚率は2.77%、45歳から49歳では0.87%で、低いものの不可能を示す数字ではありません。40代の女性は年間およそ1万9500件の再婚もしており、50歳時点で未婚の人は男性28.25%、女性17.81%です。
Q. なぜ40代になると急に難しくなるのですか
魅力が落ちたからではなく、同世代の未婚者が減って出会いの場が縮むからです。二十代は放っておいても未婚者に囲まれていましたが、40代の職場では周囲がすでに家庭を持っています。待つ形の婚活が機能しなくなる年代です。
Q. 条件を下げろと言われますが、どこまで下げればいいのですか
年収や身長といった属性の条件から削り、対象の年齢を自分の年齢に近づけてください。41歳で年下希望をやめた男性は、その半年後に成婚しています。減点方式をやめ、自然に話せるかどうかを基準に変えた43歳の例もあります。
Q. マッチングアプリで結果が出ません
場所を変えてください。アプリで二年活動して真剣な相手に出会えなかった42歳の女性は、結婚相談所に切り替えて一年三か月後に出会い、交際八か月で結婚しています。同じ人物でも母集団が変われば結果が変わります。
Q. 恋愛経験がなくても結婚できますか
できます。交際経験ゼロだった40歳の男性は、散歩しながら率直に話し合い、素直に気持ちを伝えて承諾を得ています。駆け引きを知らないことが、この年代では誠実さとして受け取られることがあります。
Q. どのくらいの期間で決まりますか
半年で成婚した人、一年三か月かけて出会った人がいます。42歳で初婚に至った例では、お見合い20件と交際3人を経て入会から半年でした。期間ではなく、この行動量を目安にしてください。
Q. 40代で子どもを持つことはできますか
可能ですが確率は下がります。生殖補助医療の治療あたりの生産率は40歳で10.6%、42歳で5.6%、45歳で1.7%です。不妊治療の保険適用は治療開始時に女性が43歳未満であることが条件になります。子どもを望むかどうかを先に決めておくと、婚活の設計が変わります。
Q. 婚活はいつやめるべきですか
年齢ではなく行動量で区切ってください。お見合い何件、交際何人までと決め、やり切ったうえで決まらなければ一人で生きる設計に切り替えます。緊急連絡先や入院の保証人、任意後見の準備を進めた人ほど焦りが消え、相手を落ち着いて見られるようになります。

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