四十代前半まで仕事一筋で、恋愛経験もほとんどなかった男性がいる。三十代の頃は、いつか自然に出会うだろうと思っていた。四十を過ぎて危機感が来て、結婚相談所に入会した。お見合いは続いたが進展しない時期があり、そのあとに趣味の食べ歩きが合う女性と出会った。一緒にいる時間が楽しいと感じ、交際数か月でプロポーズしている。同い年で、初婚同士だった。
四十代の初婚は、統計で見れば確かに厳しい。ただ、実際に結婚に至った人たちを並べてみると、共通しているのは慎重さではなかった。速さのほうだった。
長い独身生活で身につけた慎重さは、この年代ではむしろ足を引っ張る。以下、数字を確かめたうえで、何が結果を分けたのかを書く。
40代の初婚を、数字で確かめておく
40歳以上の初婚率は、年間で1000人に5人ほど
40歳以上の未婚者のうち、その一年で初婚に至る人の割合は、2020年の数値でおよそ1000人に5人になる。この初婚率は1990年代以降、下がり続けている。
もう一つ、40歳の時点で未婚だった女性が45歳までの5年間に結婚する確率は、国勢調査の推移から逆算して1割前後とされている。5年で1割。厳しい数字だが、ゼロではない。
それでも、人数としては毎年発生している
率が低く見えるのは、分母である中年未婚人口が過去最大になっているからでもある。40歳以上で初婚した男性の数は、2015年に年間4万人を超えて最大になった。その後は減っているが、今も一年で数万人の単位で発生している。
平均初婚年齢は2024年で夫が31.1歳、妻が29.8歳。四十代の初婚が平均から遠いのは事実だ。ただし、遠いことと存在しないことは違う。
数字の使い方を間違えない
厳しい数字を見て、諦める材料にする人と、期間の設計に使う人に分かれる。
1000人に5人という数字が意味しているのは、待っていては起きないということだ。いつか自然に出会うだろうという構えのまま四十代に入った人が、そのまま何も起きなかったのは、意欲の問題ではなく確率の問題になる。
同じ数字は、行動量を上げる根拠にもなる。分母の大きい抽選で当たりを引くには、引く回数を増やすしかない。
結婚した人たちは、慎重ではなく速かった
入会から五か月、交際数か月、二回目のデート
四十歳を目前にして相談所に登録した女性がいる。友人の結婚ラッシュに刺激を受けての決断だった。恋愛経験がほとんどない状態での婚活は不安が大きかったが、入会から五か月ほどで同年代の男性と出会い、結婚に至っている。もっと早く一歩を踏み出せばよかった、と今は笑っている。
三十代後半からアプリを続けていた男性は、なかなか交際まで進まなかった。四十歳近くで、同じように晩婚を意識している女性とメッセージを重ね、二回目のデートで結婚を前提に話す流れになった。
冒頭の男性も交際数か月でプロポーズしている。四十代の初婚は、決まるときは速い。
速さの正体は、素を先に出したこと
速さは、焦りから来ているのではない。相手を早く見極められた結果として出ている。
婚活中に、いい人を演じるのをやめたことが転機になった女性がいる。お見合いで相手に合わせすぎて疲れ、本音を出せずにいた。最後は自分のペースや好みを素直に伝えるようにした。すると、そのままのあなたがいいと言ってくれる人に出会えた。
無理をして大きく見せようとせず、弱さも認められる関係。四十代の結婚では、そこが効くのだと彼女は実感している。
演じるほど、判断に時間がかかる
演じている状態で会っていると、相手はこちらの本当の姿を判断できない。こちらも、演じている自分に合わせてくる相手を見ているので、判断ができない。
つまり、演じた状態での交際は、何か月続けても情報が集まらない。三か月経っても、初回と同じ場所に立っている。四十代で婚活が長引く人の多くが、この構造にはまっている。
素を早く出すと、合わない相手は早く離れる。それは失敗ではなく、時間の節約になる。
40代の初婚で、先に決める三つ
子どもを持つかどうか
ここを曖昧にしたまま進めると、交際が深まった段階でぶつかる。
日本産科婦人科学会が公表した2023年の生殖補助医療のデータでは、治療あたりの生産率は40歳で10.6%、42歳で5.6%、45歳で1.7%だった。流産率は40歳で35.6%、45歳で55.2%まで上がる。不妊治療の保険適用は、治療開始時に女性が43歳未満であることが条件になっている。
軽い気持ちで付き合い始めた関係が結婚に発展し、年齢的に無理だろうと思っていたところで妊娠と出産に至った夫婦がいる。同時に、最初から子どもを持たないと決め、二人の時間を大切にする夫婦も多い。周囲の目を気にせず、今の自分たちに合う形を選んだ結果だという。
どちらでもいい。決めていない状態が、いちばん時間を消耗する。
相手の初婚と再婚をどう扱うか
四十代の婚活では、相手が再婚である場合が相当な割合を占める。子どもがいる人も、養育費を払っている人もいる。
初婚同士にこだわると、対象は一気に狭まる。逆に、再婚まで含めれば選択肢は数倍になる。どちらを選ぶかは価値観の問題であって正解はないが、決めていないと、会うたびに揺れて判断が遅れる。
子どもがいる相手を検討するなら、面会交流の頻度、養育費の額と期間、元配偶者との関係を、交際の早い段階で聞いておく。後から出てくるほど重くなる。
いつまで動くか
期限を決めておくと、動きが速くなる。年齢で切るのではなく、行動量で切るほうが後悔が残りにくい。
お見合いを何件、交際を何人まで、と数で決める。42歳で初婚に至った女性の例では、お見合い20件と交際3人を経て、入会から半年で成婚している。この規模を一つの目安にできる。
やり切ったうえで決まらなければ、一人で生きる設計に切り替える。その切り替えも、途中で立ち止まるより納得が残る。
恋愛経験が少ないまま40代になった人へ
経験の少なさは、思っているほど不利にならない
冒頭の男性は、恋愛経験がほとんどないまま四十代に入った。アプリで結婚した男性も、恋愛経験はゼロに近かった。二人とも結婚している。
相談所やアプリの場では、過去の恋愛の数を問われる場面がほとんどない。見られているのは、時間を守るか、話を聞くか、身なりが整っているか、返信が来るか。経験の有無より、目の前の振る舞いのほうが判断材料になっている。
経験のなさをコンプレックスとして抱えている人ほど、その負い目が態度に出る。不利になっているのは経験ではなく、負い目のほうだ。
経験の多い相手と組む形もある
アプリで出会った二人は、恋愛経験ゼロに近い男性と、さまざまな経験をしてきた女性の組み合わせだった。互いのペースを尊重しながら生活を始めている。予想外の連続だったが、楽しく過ごしているそうだ。
経験のある側がリードする形は、思っているより機能する。同じ不慣れさを持つ二人より、片方が慣れている組み合わせのほうが進みやすい場面は多い。
先に伝えておくと、後が軽い
交際が始まったら、早い段階で伝えておく。恋愛経験が少ないこと、どう振る舞えばいいか分からない場面があること。
隠したまま進めると、ぎこちなさを別の意味で受け取られる。関心がないのか、隠しごとがあるのか、と。先に言ってしまえば、ぎこちなさは事情のある性質として扱われる。
弱さを先に出すことは、この年代では武器になる。
出会いの経路を、四十代の条件で選ぶ
- 結婚相談所。結婚の意思がある人だけが集まっているので、目的の確認が要らない。担当者に気持ちを話せるようになって前向きになれたと語る人もいる。費用は初期費用と月会費と成婚料で数十万円になることが多い
- マッチングアプリ。母数が大きく費用が安い。目的の温度差があるため、プロフィールに結婚を前提としていることを書いておく
- 知人の紹介。数は出ないが、素性が分かっている安心がある
- 趣味の場。食べ歩きが合う相手と出会った例のように、共通の話題がある状態から始まる
併用する
一つに絞る理由はない。相談所とアプリを同時に動かし、趣味の場にも通う。四十代は分母の大きさが直接効いてくる年代なので、経路を増やすほど期待値が上がる。
決まった後に、まとめて来るもの
長い独身生活で作った習慣は、簡単には動かない。食事の時間、寝る時間、金の使い方、部屋の片づけ方。二十代の結婚と違い、双方の型がすでに固まっている。
ここを、価値観の不一致として扱わないほうがいい。単なる手順の違いなので、片方に合わせるのではなく、二人分の新しい手順を作る。冒頭の夫婦は子どもを持たず、経済的にも精神的にも余裕のある暮らしを選んでいる。
もう一つ、四十代で結婚すると、親の介護と自分たちの老後の準備が同じ時期に重なる。互いの親の状況と、それぞれの貯蓄と年金の見込みは、結婚を決める前に一度共有しておく。金額の話は、早いほど軽く済む。
数字は厳しい。それでも、数字が示しているのは待っていては起きないということだけで、動いた人に起きないという意味ではない。演じるのをやめて、素の状態で会う回数を増やす。決まるときは、そこから数か月だった。
Q. 40代で初婚の人はどのくらいいますか
40歳以上の未婚者のうち、その一年で初婚に至る割合は2020年の数値でおよそ1000人に5人です。40歳時点で未婚だった女性が45歳までの5年間に結婚する確率は1割前後とされています。率としては低い一方、人数では毎年数万人の規模で発生しています。
Q. 40代の婚活はどのくらいの期間で決まりますか
決まるときは速い傾向があります。相談所に登録して五か月で結婚した人、交際数か月でプロポーズに至った人、二回目のデートで結婚の話になった人がいます。長引いている場合は、素の自分を出せていないことが原因になっているケースが多くなります。
Q. 恋愛経験がほとんどなくても結婚できますか
できます。恋愛経験がゼロに近い状態から四十代で結婚した人は複数います。相談所やアプリでは過去の恋愛の数より、時間を守るか、話を聞くか、身なりが整っているかが判断材料になります。不利に働くのは経験のなさではなく、それを負い目として態度に出すことです。
Q. 40代で子どもを持つことはできますか
可能ですが、確率は年齢とともに大きく下がります。2023年の生殖補助医療のデータでは、治療あたりの生産率は40歳で10.6%、42歳で5.6%、45歳で1.7%でした。流産率は40歳で35.6%、45歳で55.2%です。不妊治療の保険適用は治療開始時に女性が43歳未満であることが条件になります。
Q. 相手は初婚と再婚のどちらを検討すべきですか
初婚同士にこだわると対象が大きく狭まります。再婚を含めれば選択肢は数倍になりますが、子どもがいる場合は面会交流の頻度、養育費の額と期間、元配偶者との関係を交際の早い段階で確認してください。後から出てくるほど扱いが重くなります。
Q. 結婚相談所とマッチングアプリはどちらがいいですか
併用してください。相談所は結婚の意思がある人だけが集まるため目的の確認が不要で、費用は初期費用と月会費と成婚料で数十万円になることが多くなります。アプリは母数が大きく費用が安い一方、目的の温度差があるためプロフィールに結婚前提であることを明記しておきます。
Q. 婚活はいつまで続けるべきですか
年齢ではなく行動量で区切ってください。お見合い20件と交際3人を経て半年で成婚した例があります。その規模をやり切ったうえで決まらなければ、一人で生きる設計に切り替えるほうが、途中で立ち止まるより納得が残ります。
Q. 40代で結婚した人の決め手は何でしたか
自然体でいられることを挙げる人が多くなります。いい人を演じるのをやめて自分のペースや好みを伝えたところ、そのままでいいと言ってくれる人に出会えたという例があります。無理をして大きく見せず、弱さも見せられる関係が、この年代では続いています。

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