60代男性と50代女性の恋愛はうまくいくのか・どこで出会っているのか

妻を亡くして三年が過ぎた頃、これからの人生を考えるようになった男性がいる。紹介を通じて五十代前半の女性と出会い、最初の食事会から話が弾んだ。初めて会った人とは思えないほど自然だったという。ゴルフや映画を一緒に楽しみ、毎日一時間ほど電話で話すうちに、結婚を意識し始めた。子どもたちにも順に話を通し、再婚に至っている。

相手はこれまで結婚せずに来た女性で、恋愛を諦めかけていたと振り返っていた。彼との出会いで情熱を思い出した、と。

六十代の男性と五十代の女性という組み合わせは、婚活の場でもっとも噛み合いやすい配置になっている。そして、続いている二人には共通点がある。過去を消していない。

目次

この組み合わせは、婚活でもっとも噛み合う配置になっている

60代男性は年下を、50代女性は年上を希望する

イベントで出会った二人の話が分かりやすい。六十代の男性は妻の三回忌を終え、パートナーが必要だと感じて参加していた。五十代の女性は、この先ずっと一人でいる不安から、年上を希望して来ていた。

婚活の場では、多くの組み合わせで希望が食い違う。男性が求める年齢と女性が求める年齢が、そもそも交わらないことが多い。ところがこの二つの層だけは、需要が正面から噛み合う。六十代男性の希望する年下と、五十代女性の希望する年上が、そのまま重なるからだ。

一目惚れから半年ほどで結婚を決めた彼女は、これほど素敵な人は今後現れないと思ったという。同じ時間を過ごせることが幸せだと、今も話している。

出会いの入口は四つに絞られる

  • 知人や親族の紹介。素性が分かっている安心があり、この年代ではいまだに強い
  • 婚活イベントやパーティー。相手も目的をはっきり持って来ている
  • マッチングアプリ。六十代の男性が誠実なプロフィールを載せたところ、五十代の女性から反応があった例がある
  • 共通の趣味。写真、ゴルフ、音楽。会話の土台が最初からできている

職場や日常の中で自然に、というルートは、この年代ではほとんど機能しない。行動範囲が固定されているからだ。

動き出す時期には、型がある

死別した男性の場合、三回忌を一つの区切りにする人が多い。冒頭の男性は三年、イベントで出会った男性も三回忌を終えてからだった。

退職も引き金になる。退職後の退屈だった日々に彩りが戻った、と語る男性がいる。時間が急に空いて、その空白の大きさに驚くところから始まる。

自分が動き出したタイミングを、不謹慎だと責める必要はない。多くの人が同じ時期に同じことを考えている。

過去を消さないほうが、関係は深まる

亡くなった夫が走っていたコースを、一緒に歩く

六十代の男性が五十代の女性と付き合い始めたとき、彼女はある頼みごとをした。亡くなった夫が走っていたコースを、一緒に歩いてほしい。

彼はそれを受け入れた。無理に過去を消そうとせず、これからの時間を共有する。その姿勢が関係を深めたという。

ここに、この年代の恋愛の核心がある。二十代なら、前の相手の話は関係を壊す材料になる。五十代と六十代では逆になる。消せないものを消そうとする側から、関係が崩れていく。

前の相手の話を、タブーにしない

亡くなった配偶者の名前を出さないようにする。写真をしまう。命日の話題を避ける。気を遣っているつもりのこうした配慮が、相手を追い詰めることがある。

三十年連れ添った相手を、なかったことにはできない。したふりをすると、その人は自分の人生の三十年分を隠して生きることになる。隠している時間が長くなるほど、目の前の相手と本当の話ができなくなる。

命日に一緒に墓参りをする。写真をそのまま飾っておく。前の相手が好きだった店に行く。実際にそうしている二人は珍しくないし、続いている。

死別と離別では、過去の重さが違う

同じ過去でも、扱い方は変わる。

死別の場合、相手の中に敬意が残っている。だから共有できる。共有すると、その敬意はこちらにも向けられる。

離別の場合は、痛みや怒りが残っていることが多い。こちらは無理に共有しなくていい。深く聞き出そうとすると、相手が自分の失敗を説明する時間になってしまう。事実関係だけ把握して、感情の部分は本人が話したくなるまで置いておく。

会う頻度より、連絡のペース

毎日一時間の電話

冒頭の二人は、毎日一時間ほど電話で話していた。会う回数の話ではない。

この年代は、頻繁に会うことが難しい。体力の問題もあれば、住んでいる場所の距離もある。仕事を続けている人なら平日は動けない。それでも関係が深まるのは、連絡が途切れないからだ。

若い頃の恋愛は、会っている時間が関係の実体だった。この年代は、会っていない時間をどう埋めるかが実体になる。

一人の時間を尊重する設計

同時に、押しつけない設計も要る。この年代の恋愛では、頻繁に会うことより、互いの生活や一人の時間を尊重するペースが効いてくる。

何十年も自分の生活のリズムで暮らしてきた人同士だ。朝起きる時間も、食事の量も、テレビの音量も固まっている。そこへ毎日入り込もうとすると、どちらかが疲れる。

会うのは週末だけ、平日は電話だけ。この形で長く続いている二人は多い。同居してからも、それぞれの部屋を確保している家がある。

この年代でサプライズが効く理由

六十代の男性が、五十代の女性の誕生日を知って高層レストランでディナーを用意した例がある。最初は遠慮されたが、写真が共通の趣味だと分かってから、富士山への撮影旅行も実現した。毎回の心遣いに彼女は嬉しくなり、離れがたくなって交際に発展している。ライブに連れて行き、クリスマスにサプライズを用意した男性もいた。

若い頃なら演出として受け取られるものが、この年代では意味が変わる。誰も自分の誕生日を祝わなくなって久しい人が多いからだ。時間を使ってもらえたという事実が、そのまま重さを持つ。

彼は交際が始まってから笑顔が増え、健康にもいい影響があったという。与えた側にも返ってくる。

体の関係をどう扱うか

持たないまま恋人として続く形もある

マッチングアプリで出会った二人は、食事や映画、旅行の計画を重ねるうちに、互いの存在が心の支えになった。肉体関係は持たないまま、恋人として日常を豊かにしている。半信半疑だった出会いが人生をよくしてくれたと、男性は実感している。

この形を、中途半端な関係として扱う必要はない。体力や健康の事情は人それぞれで、持つ持たないで関係の深さが決まるわけでもない。

早めに言葉にしておく

とはいえ、放置すると誤解が生まれる。求められていないのは魅力がないからだと受け取る人もいれば、逆に距離を詰められて困る人もいる。

体調のこと、これまでの経験のこと、どういう関係を望んでいるのか。旅行に行く前あたりで一度、短く話しておく。この年代は、若い頃より言葉にしたほうが早く落ち着く。

籍を入れるかどうかで、動くお金

遺族年金は再婚すると消える。事実婚でも同じ

見落とされやすい、最も重要な点になる。

遺族年金を受け取っている人が再婚すると、受給権は消える。しかもここでいう結婚には、婚姻届を出さない事実婚も含まれる。夫婦としての共同生活の実体があると判断されれば、届を出していなくても失権する。

死別した五十代の女性が遺族厚生年金を受けている場合、これは生活設計の根幹に関わる。年額がいくらで、それを失っても暮らしが成り立つのかを、先に計算しておく。夫が妻を亡くして遺族厚生年金を受けている場合も同じで、六十代の男性側にも起こりうる。

相続。配偶者は必ず相続人になる

婚姻届を出した時点で、相手は法定相続人になる。婚姻期間の長さは関係ない。法定相続分は配偶者が2分の1、子が残りを人数で分ける。前の結婚でできた子も、当然その中に入る。

籍を入れない場合、相手に相続権は一切ない。何年一緒に暮らしても、家の名義が相手のものなら退去を求められることがある。

どちらを選ぶにしても、公正証書で遺言を残しておく。子には遺留分があるので、法定相続分の2分の1にあたる金額を請求される可能性を織り込んで配分する。自宅については、2020年から使える配偶者居住権を検討する余地がある。

加給年金という逆方向の話

年金には、この年齢差で有利に働く仕組みもある。

厚生年金に20年以上加入した人が65歳になったとき、生計を同じくする65歳未満の配偶者がいると、年40万円ほどが上乗せされる。相手が65歳になるまで続くので、年齢差があるほど受け取る期間が長い。すでに年金を受け始めた後に結婚した場合も、届出をすれば対象になりうる。

失権する遺族年金と、加算される加給年金。どちらが大きいかは人によって逆転する。二人分の年金記録を持って年金事務所へ行き、両方の金額を出してもらうのが確実になる。予約すれば無料で相談できる。

判断の基準を一つに絞る

迷ったら、この問いに答える。相手に財産や年金を残したいか。

残したいなら籍を入れる。それより今の受給や子どもとの関係を優先したいなら入れない。どちらを選んでも、遺言と、医療の同意を誰がするかの取り決めは必要になる。

子どもへの伝え方

冒頭の男性は、子どもたちに徐々に話を通してから再婚した。この徐々にという部分が要点になる。

反対されるとき、口に出されるのは年齢や世間体だが、実際に気にしているのは三つに絞られる。財産が家の外に出ること。親の介護を誰が担うのか。亡くなった親をどう扱われるのか。

  1. 相手の子どもより先に、自分の子どもに話す
  2. 気持ちが固まってから会わせる。迷っている段階では会わせない
  3. 初回に相続や財産の話をしない。関係を認めてもらう回と、条件を詰める回を分ける
  4. 二回目以降に、遺言と財産の整理を進めていると自分から伝える
  5. 反対されても即答を求めず、会う回数を重ねる

段取りを先に見せる人には、反対しにくい。何も決まっていないまま紹介すると、子どもは最悪の想定で身構える。

派手なときめきではなく、そばにいるだけで安心する感覚。この年代の恋愛が向かうのはそこだ。消せない過去を抱えたまま、これからの時間を一緒に使う。それができる相手は、若い頃より探しやすくなっている。

Q. 60代男性と50代女性の恋愛はうまくいきますか

婚活の場ではもっとも噛み合いやすい組み合わせです。60代の男性は年下を、50代の女性は年上を希望することが多く、希望が正面から重なります。続いている二人は、頻繁に会うことより連絡のペースと、互いの一人の時間を尊重する設計を大切にしています。

Q. 死別してからどのくらいで新しい相手を探していいですか

決まりはありませんが、三回忌を一つの区切りにする人が多くなります。妻を亡くして三年後に紹介で出会った人、三回忌を終えてから婚活イベントに参加した人がいます。退職で時間が空いたことをきっかけにする人も多く、動き出した時期を不謹慎だと責める必要はありません。

Q. 亡くなった配偶者の話はしないほうがいいですか

隠さないほうが関係は深まります。亡くなった夫が走っていたコースを一緒に歩いてほしいと頼み、それを受け入れてもらったことで関係が深まった例があります。三十年連れ添った相手をなかったことにすると、自分の人生の三十年分を隠したまま付き合うことになります。

Q. 再婚すると遺族年金はどうなりますか

受給権が消えます。ここでいう結婚には婚姻届を出さない事実婚も含まれ、夫婦としての共同生活の実体があると判断されれば失権します。受給額と、それを失った後の生活が成り立つかを先に計算してください。

Q. 籍を入れるかどうかは、何を基準に決めればいいですか

相手に財産や年金を残したいかどうかで判断できます。残したいなら籍を入れ、今の受給や子どもとの関係を優先したいなら入れません。どちらを選んでも、公正証書遺言と、医療の同意を誰がするかの取り決めは必要になります。

Q. 年齢差があると年金で有利になることはありますか

加給年金があります。厚生年金に20年以上加入した人が65歳になったとき、生計を同じくする65歳未満の配偶者がいると年40万円ほどが上乗せされ、相手が65歳になるまで続きます。失権する遺族年金と比べてどちらが大きいかは人により逆転するため、年金事務所で両方の金額を出してもらってください。

Q. この年代で体の関係はどうしているのですか

持たないまま恋人として続いている二人もいます。食事や旅行を重ねるうちに互いの存在が心の支えになり、それで満たされている例があります。体調や望む関係については、旅行に行く前あたりで一度短く話しておくと、後のすれ違いを避けられます。

Q. 子どもに反対されたらどうすればいいですか

反対の中身は年齢ではなく、財産の行き先、介護を誰が担うか、亡くなった親の扱いであることがほとんどです。相手の子どもより先に自分の子どもへ話し、遺言と財産の整理を進めていると自分から伝えてください。段取りを先に示す人には反対しにくくなります。

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この記事を書いた人

シニア向け雑誌の人生相談コーナーの担当として、これまで1000通を超える読者の手紙を読んできました。悩みの多くは、分かってくれる相手が欲しいのだと知りました。定年後の空白、体力の変化、新しい人付き合い。人生後半は終わりではなく仕切り直しの時期です。

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