三月に入ると、孫の入学祝いをいくら包むかで手が止まる。少ないと思われたくない。かといって無理もできない。去年は上の孫にいくら渡したのか、通帳を見ても分からない。
孫への入学祝いは、1万円から3万円が中心になる。学校の段階が上がるほど増える傾向があり、すでにランドセルや制服を負担している場合は、そこから下げても構わない。
段階別に並べるとこうなる。
- 小学校 1万円から3万円
- 中学校 1万円から3万円
- 高校 1万円から5万円
- 大学や専門学校 3万円から10万円
この幅の中であれば、どこに置いても外れにはならない。
段階別の相場
小学校と中学校
祖父母から小学校に入学する孫への祝いは、1万円から3万円が目安になる。現金だけを渡す人もいれば、ランドセルや学習机といった高額な品を贈る人もいる。
中学校は、金額としては小学校とあまり変わらない。ただし制服やかばん、通学用の自転車、部活の道具など、まとまった出費が発生する時期になる。そこを見込んで多めに包む家庭もある。
段階ごとに差をつけて、小学校で1万円前後、中学校で3万円から5万円、と決めている家庭もある。決め方に正解はなく、家の中で一貫していれば問題にならない。
高校と大学
高校からは幅が広がる。5万円から10万円という家庭も珍しくない。私立に進む場合や、下宿が絡む場合は、入学祝いという名目で学費の一部を援助する形になることもある。
大学や専門学校は、入学金と前期の授業料が同時に出ていく時期になる。ここで大きく出す祖父母は多い。ただし、金額が上がるほど、後述する税の扱いと、きょうだい間の公平を意識する必要が出てくる。
甥や姪、友人の子との差
自分の位置を測るために、他の関係も知っておくと迷いが減る。
甥や姪への入学祝いは5千円から1万円、友人や知人の子には3千円から5千円が目安になる。孫はその数倍というのが、一般的な感覚になっている。
初孫や初曾孫のときは多めに出す人が多い。ただし、数年経つといくら渡したか覚えていないという状態になりがちなので、メモを残しておくと後で助かる。
ランドセルや机を出した場合はどうするか
二重に出す必要はない
ランドセルを5万円出したうえで、さらに3万円を包むべきか。この相談はとても多い。
結論としては、二重に出す必要はない。ランドセルや学習机は、入学祝いそのものとして贈られるものだからだ。すでに大きな負担をしているなら、現金は控えめにするか、あるいは無しでも構わない。
孫に贈った家具の代金が10万円になっていて、カードの引き落としで慌てた人がいた。この場合、その10万円が入学祝いの本体になる。そこに現金を足す必要はない。
問題になるのは、片方の祖父母がランドセルを買い、もう片方が現金を包んだときに、金額の差が見えてしまう場面になる。可能なら、両家で事前に役割を分けておくと収まりがいい。
名目を分けると角が立たない
それでも何か渡したい場合は、名目を分ける方法がある。
品物を入学祝いとして贈り、現金は入学の日に本人へ渡すお小遣いという形にする。金額を5千円から1万円程度に抑えれば、負担にもならず、孫本人も受け取りやすい。
あるいは、ランドセルを前年の夏に贈り、入学祝いは春に改めて包む。時期をずらすと、それぞれが別の贈り物として受け取られる。
金額を決める三つの物差し
相場の幅は広いので、最終的には自分で決めることになる。判断の材料は三つでいい。
きょうだいの孫との横並び
去年は姉の孫にたくさん渡したので、今年はいくらにしようか迷う。この悩みは、複数の孫がいる家庭で必ず出てくる。
原則は、同じ段階には同じ額を出すことになる。小学校入学には全員2万円、中学校には全員3万円、と決めておけば、後から比べられても説明できる。
年数が空くと物価も変わるので、最初の孫より後の孫のほうが結果的に多くなることはある。それは仕方がない。ただ、同じ年に二人が入学する場合は揃えたほうがいい。
記録を残しておくと、この判断が楽になる。誰にいつ、いくら渡したか。手帳の隅でも構わない。
相手の親が負担に感じない額
受け取る側には、お返しという慣習がついて回る。金額が大きいほど、内祝いを考える手間が生まれる。
親しい間柄なら、お返しは要らないと最初に伝えておくと、相手が楽になる。伝えるのは渡すときで、後からでは間に合わない。
もう一つ、相手の親がどう感じるかも見ておく。子どもに高額な現金が渡ると、教育方針との折り合いを気にする家庭がある。事前に一言相談しておくと、すれ違いが起きにくい。
自分の生活が崩れない額
年金で暮らしていて、孫が四人いる。この状態で一人5万円を出せば、それだけで20万円になる。入学は小中高大と四回あるので、長い目で見ると相当な額になる。
無理をして出しても、続かなければ後の孫との差が生まれる。最初の一人で決めた額が、その後の基準になってしまうからだ。
最初に決めるときは、全員に同じ額を出し続けられるかを計算してから決める。1万円で揃えることは、恥ずかしいことではない。
多すぎると起きること
孫のほうが困る
祖母から卒業と入学の祝いで10万円をもらい、大金すぎて困ったという孫がいた。金額が大きいと、感謝より戸惑いが先に立つ。
3万円は甘やかしすぎではないか、と周囲から指摘される例もある。金額の感覚は家庭によって大きく違うので、どちらが正しいという話ではない。ただ、受け取る側の生活水準から離れすぎた額は、素直に喜ばれにくい。
小学生に現金で高額を渡すと、扱いに困って結局は親が預かることになる。それなら最初から親に渡すか、金額を下げるほうが自然になる。
翌年以降の基準になってしまう
一度出した額は、家の中で基準として残る。上の孫に5万円出したなら、下の孫にも同じ額が期待される。それが四人分、四段階続く。
初孫で張り切ると、この連鎖が始まる。最初の一回だけを見て決めず、全体で何回あるかを数えてから金額を置く。
複雑な家庭の事情がある場合もある。孫宛に現金書留で高校入学祝いの10万円が届いたが、その子の親は封筒に触れもしなかった、という話があった。関係がこじれている場合、金額を上げても解決しない。むしろ、額が大きいほど相手が受け取りにくくなることがある。
現金以外という選び方
現金が苦手なら、他の形もある。
図書カードや商品券は、現金より受け取りやすく、使い道も限定される。1万円分でも十分に形になる。
品物を選ぶなら、名前を入れた文房具、図鑑や辞書、通学に使うリュックや水筒、腕時計。中学生以上なら電子辞書やイヤホンも喜ばれるが、好みが分かれるので事前に希望を聞いておく。
孫にヘアアクセサリーを手作りして渡した人がいた。金額に換算できないものが、いちばん記憶に残ることもある。
会ったときに服を買う、寿司を食べに連れて行く、文房具を選ばせる。その場で使う形にする人もいる。この方法は、金額が見えにくいぶん比較されにくいという利点がある。
渡し方と、税金の扱い
時期とのし袋
渡す時期は、入学式の2週間から1か月ほど前が目安になる。3月中旬から下旬にかけてが一般的で、入学準備の出費と重なるので実用的でもある。入学式の後になっても失礼にはならないが、月内には渡しておく。
のし袋は紅白の蝶結びを選ぶ。何度あってもよい祝い事なので、結び切りは使わない。表書きは御入学御祝、または祝御入学とする。下段に贈る側の名字を書く。
中に入れる紙幣は新札を用意する。金額に迷って端数をつけると数えにくくなるので、1万円、2万円、3万円といったきりのいい額にする。
入学祝いに贈与税はかかるのか
年間110万円までは基礎控除の範囲なので、通常の入学祝いで贈与税が発生することはない。同じ年に他の贈与があっても、合計が110万円を超えなければ課税されない。
加えて、扶養義務者から生活費や教育費として渡され、通常必要と認められる範囲のものは、金額にかかわらず非課税になる。祖父母が孫の学費や教材費を直接支払う場合はこれにあたる。ただし、渡した資金を貯金や投資に回すと、この扱いから外れる。
大きな援助を考えている場合
学費をまとめて援助したいと考えている人は、制度の変化を知っておく必要がある。
祖父母から孫へ教育資金を一括で贈った場合に最大1,500万円まで非課税となる特例があった。この措置は令和8年3月31日、つまり2026年3月末をもって終了した。同日までに制度を利用して拠出された資金については引き続き適用されるが、それ以降に新たに利用することはできない。
いま大きな援助を考えるなら、必要になったときに必要な分を直接支払う形が現実的になる。入学金を学校へ振り込む、教材費を都度出す。この形なら、扶養義務者からの教育費として扱われる。
金額の話をここまで並べてきたが、覚えられているのは額ではなく、渡された場面のほうだ。10万円をもらったことは忘れられても、一緒に文房具を選んだ午後は残る。
孫への入学祝いの相場はいくらですか
1万円から3万円が中心です。小学校と中学校は1万円から3万円、高校は1万円から5万円、大学や専門学校は3万円から10万円が目安になります。甥や姪へは5千円から1万円、友人の子へは3千円から5千円が相場なので、孫はその数倍という位置づけになります。
ランドセルを買った場合も現金を包むべきですか
二重に出す必要はありません。ランドセルや学習机は入学祝いそのものとして贈られるものなので、現金は控えめにするか、無しでも構いません。何か渡したい場合は、入学の日に本人へ渡すお小遣いとして5千円から1万円程度にすると負担になりません。
孫が複数いる場合、金額は揃えるべきですか
同じ段階には同じ額と決めておくと、後から比べられても説明がつきます。年数が空けば物価も変わるので多少の差は避けられませんが、同じ年に複数人が入学する場合は揃えてください。誰にいつ何円渡したかを手帳などに記録しておくと、次の判断が楽になります。
金額が多すぎると何か問題がありますか
受け取る側が戸惑い、素直に喜ばれにくくなります。金額が大きいほど内祝いを考える手間が相手に生まれ、小学生に高額の現金を渡すと結局は親が預かることになります。さらに、一度出した額が家の中で基準として残り、下の孫にも同じ額が期待されます。
入学祝いはいつ渡せばいいですか
入学式の2週間から1か月ほど前、3月中旬から下旬が目安です。入学準備の出費と重なるため実用的でもあります。入学式の後になっても失礼にはなりませんが、月内には渡してください。
のし袋はどれを選べばいいですか
紅白の蝶結びを選びます。何度あってもよい祝い事なので、結び切りは使いません。表書きは御入学御祝または祝御入学とし、下段に贈る側の名字を書き、中に入れるのは新札にしてください。
入学祝いに贈与税はかかりますか
年間110万円までは基礎控除の範囲なので、通常の入学祝いで課税されることはありません。さらに、扶養義務者から生活費や教育費として渡され通常必要と認められる範囲のものは、金額にかかわらず非課税です。ただし、渡した資金を貯金や投資に回すとこの扱いから外れます。
学費をまとめて援助したい場合、非課税の制度はありますか
祖父母から孫への教育資金の一括贈与について最大1,500万円まで非課税とする特例がありましたが、2026年3月31日をもって終了しました。同日までに拠出された資金には引き続き適用されますが、新たに利用することはできません。現在は、入学金を学校へ直接振り込む、教材費を都度支払うといった形にすると、教育費として非課税の扱いになります。

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