70歳を目前にして、100均で高齢者マークを買ってきた。前と後ろに付けるタイプで問題ないかを確認しながら、これからは安全運転を心がけようと思った。そう話していた人がいた。正式なものが必要かどうか迷ったが、100円なら失敗しても痛くないと判断したという。
その判断で合っている。高齢運転者標識は100均で買えるもので機能する。カー用品店で数百円のものを買っても、法的な扱いは変わらない。
売られているのは主に三タイプになる。
- マグネットタイプ。着脱が簡単だが、鉄の車体でないと付かず、盗難に遭いやすい
- 吸盤タイプ。車内のガラス面に付けるので盗まれないが、位置の自由度が低い
- ステッカータイプ。素材を選ばずに貼れるが、剥がすとき苦労することがある
どれを選ぶかは、車体の素材と、どこに駐めているかで決まる。
100均で買っても法的な問題はない
規格は施行規則で決まっている
高齢運転者標識の形と色と大きさは、道路交通法施行規則で定められている。この規格を満たしていれば、どこで買ったものでも同じ標識になる。運転免許試験場で扱っているものと、100均のものとで効力に差はない。
マークを付けることの意味は、周囲の運転者に配慮を求める点にある。マークを付けた車に対して、危険防止のためやむを得ない場合を除き幅寄せや割込みをすることは道路交通法で禁じられていて、違反すると5万円以下の罰金、普通自動車の反則金6,000円、基礎点数1点になる。この保護は、100円のマークでも同じように働く。
適合品と書かれているかを見る
注意したいのは、規格から外れた加工品のほうだ。デザインを変えたもの、極端に小さいもの、キャラクターを入れたものが雑貨として売られていることがある。こうしたものは法的に認められた標識としての効力を持たない可能性がある。
ダイソーのステッカータイプのパッケージには、道路交通法施行規則適合品と明記されている。購入前にこの一文があるかを確かめれば足りる。
ダイソーとセリアで買える三つのタイプ
売り場はカー用品のコーナーで、吊り下げて並んでいることが多い。初心者マークを探していたら高齢者マークも並んでいた、という話があるとおり、若葉マークや車椅子マークと同じ棚に置かれている。
マグネットタイプ
ダイソーの高齢者マークのマグネットタイプは、サイズが16.3センチ×14.2センチ、厚さは0.7ミリほど。材質は塩化ビニル樹脂とマグネットラバーになる。パッケージには、車から降りる際は取り外して使用するようにという注意書きがある。
セリアでもマグネット式が扱われていて、価格は税込110円。サイズと基本的なデザインはダイソーとほぼ同じで、色味がわずかに違う程度になる。
吸盤タイプ
ダイソーの吸盤タイプは19.5センチ×14センチで、材質は塩化ビニル樹脂。車内側に取り付けて使うもので、吸盤が付く平らな面の汚れを落としてから付けるよう案内されている。
車外に露出しないので、盗まれる心配がない。ただし、貼れる場所がガラス面に限られる。
ステッカータイプ
ステッカータイプは13センチ角で、材質はポリプロピレン。貼って剥がせるとうたわれていて、マグネットが使えないアルミや樹脂のボディにも使えると案内されている。
軽自動車のバックドアが樹脂製だったり、ボンネットがアルミだったりすると、マグネットは付かない。その場合の選択肢になる。
なお、同じ棚には初心者マークや車椅子マーク、ドライブレコーダーのマークも並んでいる。小学生が友達と100均に行き、初心者マークを買ってきたうえで、次は高齢者マークを買ってくると言い出した、という話もあった。手の届く値段だからこそ、こういうことも起きる。
タイプ別に、実際に起きている失敗
マグネットは盗まれる
高齢の父親の車のマークがぼろぼろになっていたので、新しいものを渡した人がいる。ところが翌日には盗まれていて、また元のぼろぼろの状態に戻っていた。100均のものまで盗るのか、とあきれながら、もう一度買って渡したという。
マグネットは工具も要らずに剥がせる。屋外の駐車場や、コインパーキングをよく使う人は、この被害に遭いやすい。パッケージに書かれている、降車時に取り外してくださいという注意書きは、盗難と落下の両方を避けるためのものだが、毎回の着脱を続けられる人は多くない。
対策は二つになる。予備をもう一枚買っておくか、盗まれない吸盤かステッカーに切り替えるか。110円なので、予備を持つほうが手間は少ない。
貼って剥がせるを鵜呑みにしない
シール式について、貼って剥がせると書いてあっても信じてはいけない、という経験者の声がある。塗装面を気にせず使えた人もいれば、古くなった親用のマークを剥がすときに粘着が残り、こすり取ることになった人もいる。
差が出るのは、貼っていた期間と直射日光の量による。数年貼りっぱなしにすると、糊が硬化して素直に剥がれなくなる。剥がすときは、ドライヤーの温風で全体を温めてから、端をゆっくり引き上げる。残った糊はシール剥がし剤で処理する。爪や金属のヘラでこすると、塗装に傷が残る。
貼れない場所も指定されている。皮、木、再塗装した面、強い曲面、ゴム、粗いシボ面や凹凸のある場所には貼れない。納車直後の車や、板金塗装をした部分は避けたほうがいい。
色褪せは避けられない
100均で買った高齢者マークがすぐに色褪せてきた、そんなに古かっただろうか、と驚いた人がいた。屋外に置かれた樹脂製の印刷物は、紫外線と洗車で確実に退色していく。
高齢者マークは黄色と橙と緑を使い分けたデザインなので、色が抜けると識別しづらくなる。半年から一年で交換する消耗品として扱う。110円なら、その前提で回せる。
車体の素材と駐車場所で決まる
選び方は、二つの条件を順に見るだけで決まる。
まず、車体に磁石が付くかどうかを確かめる。冷蔵庫用のマグネットを一つ持って、貼りたい位置に当ててみればいい。付かなければマグネットタイプは外れる。近年の軽自動車やスライドドア車では、バックドアやフェンダーが樹脂のものが増えている。
次に、駐車場所を見る。屋根のない月極や、鍵のかからない場所に長時間置くなら、盗難と退色の両方が進む。この場合は吸盤タイプが最も手間がかからない。
屋根付きの駐車場で、車体が鉄なら、マグネットで問題ない。樹脂やアルミで、屋外駐車なら、ステッカーを消耗品として貼り替えるのが現実的になる。
貼る位置と、貼ってはいけない場所
前後に1枚ずつ、地上0.4mから1.2m
高齢者マークは、車の前面と後面にそれぞれ1枚ずつ表示する。位置は、地上0.4メートル以上1.2メートル以下の、前方または後方から見やすい場所と定められている。
100均の商品は1枚入りなので、二つ買う必要がある。片方だけ貼っている車をよく見かけるが、規格としては前後の両方になる。
高さの目安としては、ナンバープレートの周辺から、その少し上あたりに収まる。ボンネットの上面やルーフに貼っても、前方から見えないので意味をなさない。
ガラス面とその他の禁止箇所
貼ってはいけない場所は、パッケージにも並んでいる。
- フロントガラス。道路運送車両の保安基準で取り付けられない
- 運転席と助手席のサイドガラス、開閉する窓ガラス
- ナンバープレート
- マフラーやエンジン周りなど高温になる場所
- ヘッドライトやランプ類
- ワイパーのゴムに干渉する場所
- 運転時の視界や操作の妨げになる場所
吸盤タイプは車内側に付けるものだが、この制約があるため、実際に付けられるのはリアガラスと後部座席の窓に限られる。フロントに付けたい場合は、ガラス以外の外側の面に貼ることになる。
もみじマークは今も使えるのか
古いデザインの、涙のような形をしたマークをフリマで100円で手に入れた人がいた。近年なかなか手に入らないので嬉しかった、と話していた。
このデザインは1997年に導入されたもので、通称もみじマークと呼ばれてきた。橙と黄の二色で、木の葉や水滴のような形をしている。ただ、枯れ葉を連想させるという批判が強く、2011年2月1日に、四つ葉のクローバーをモチーフにした現行のデザインへ変更された。四つの部分をそれぞれ別の色に塗り分け、白いラインでシニアの頭文字を表している。
旧デザインのもみじマークと、新デザインの四つ葉マークは、どちらも現在使用できる。店頭で流通しているのはほぼ四つ葉のほうなので、もみじを使いたい人は中古か通販を探すことになる。
制度としても揺れがあった。導入当初は75歳以上への努力義務で、2001年に70歳以上へ広がった。2008年に罰則付きで義務化されたものの反発が大きく、翌2009年に努力義務へ戻っている。
マークを付ける前に確かめておくこと
100均でマークが売られていること自体に疑問を持つ人もいる。高齢者マークを付けた軽自動車から、元気に歩いて店に入っていく人を見かける。便宜的に使われている印象を受ける、という声だった。
別の人は、セリアの駐車場でマークを付けた車が不自然な動きをしているのを見た。周りに車が少ないのに、判断が怪しく見えたという。
マークは周囲へ配慮を求める標識であって、運転能力を保証するものではない。付けたことで安心してしまうと、順序が逆になる。付けるのと同時に確かめておきたいのは、聞こえと見え方のほうだ。テレビの音量が上がっていないか、夜間の対向車がまぶしすぎないか、白内障の検査を受けたのはいつか。
70歳を超えたら免許更新時に高齢者講習があり、75歳以上では認知機能検査が加わる。そこで指摘を受ける前に、自分で確かめておく余地は残っている。
110円で買えるものは、意思表示にすぎない。安全そのものは、その手前にある。
高齢者マークは100均で買えますか
ダイソーとセリアで販売されていて、価格は税込110円です。売り場はカー用品のコーナーで、初心者マークや車椅子マークと並んで吊り下げられていることが多くなります。ダイソーではマグネットタイプ、吸盤タイプ、ステッカータイプが扱われ、セリアではマグネット式が中心です。
100均のもので法的に問題はありませんか
形と色と大きさは道路交通法施行規則で定められており、規格を満たしていればどこで買ったものでも効力は同じです。ダイソーのステッカータイプには道路交通法施行規則適合品と明記されています。デザインを変えた加工品や極端に小さいものは効力を持たない可能性があるため、適合品の表示を確認してください。
マグネットと吸盤とシールのどれを選べばいいですか
車体に磁石が付くかを冷蔵庫用のマグネットで確かめ、次に駐車場所を見て決めます。鉄の車体で屋根付き駐車ならマグネットで足り、屋外で盗難や退色が心配なら車内に付ける吸盤タイプが手間がかかりません。バックドアやフェンダーが樹脂やアルミの車では磁石が付かないため、ステッカータイプを選びます。
何枚必要ですか
前面と後面にそれぞれ1枚ずつ表示するため、2枚必要です。100均の商品は1枚入りなので、二つ購入してください。位置は地上0.4メートル以上1.2メートル以下の、前方または後方から見やすい場所と定められています。
フロントガラスに貼ってもいいですか
貼れません。道路運送車両の保安基準により、フロントガラスへの取り付けは認められていません。運転席と助手席のサイドガラス、開閉する窓ガラス、ナンバープレート、ヘッドライトやランプ類、高温になる場所、ワイパーゴムに干渉する場所も避けてください。
シールを剥がすとき塗装は傷みませんか
長期間貼ったままにすると糊が硬化し、粘着が残ることがあります。剥がすときはドライヤーの温風で全体を温めてから端をゆっくり引き上げ、残った糊はシール剥がし剤で処理してください。爪や金属のヘラでこすると塗装に傷が残ります。
マグネットタイプが盗まれるという話は本当ですか
工具なしで剥がせるため、屋外駐車やコインパーキングでは実際に被害が起きています。パッケージにも、車から降りる際は取り外して使用するよう注意書きがあります。毎回の着脱が難しい場合は、予備をもう一枚買っておくか、盗まれない吸盤タイプへ切り替えてください。
もみじマークは今でも使えますか
1997年導入の旧デザインのもみじマークと、2011年から使われている四つ葉マークは、どちらも現在使用できます。ただし店頭で流通しているのはほぼ四つ葉のデザインなので、もみじを入手したい場合は中古市場や通販を探すことになります。
高齢者マークは何歳から付けるもので、義務ですか
70歳以上の運転者が対象で、表示は努力義務です。付けていなくても運転者に罰則はありません。ただしマークを表示していると、周囲の運転者による幅寄せや割込みが禁じられ、違反した側に5万円以下の罰金と反則金、基礎点数1点が科されます。

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